退職者の履歴書をめぐる管理は、企業が遵守すべき法的義務のひとつです。退職者が去った後の履歴書は、ただの紙切れではありません。その一枚一枚には、その人の職歴とともに、企業の義務が詰まっているのです。

退職者の履歴書保管義務は、労働基準法によって定められており、退職日から数えて3年間の保存が求められます。これは、退職者が異議を唱えた場合の労働争議に備え、事実関係を明確にするための措置です。しかし、多くの企業では、この保管義務が曖昧になりがちで、時には書類の山の中に埋もれてしまうことも。

そこで、保管の基本となるべき行動原則を見直してみましょう。まず、履歴書はセキュリティが確保された場所に保管することが肝心です。個人情報を含む書類を扱うにあたっては、不正アクセスや漏洩の危険から守ることが重要です。具体的には、鍵付きの書庫や、アクセス制御の行き届いたデジタルストレージが考えられます。

保管期間が過ぎた履歴書の取扱いについては、多くの場合、破棄が適切な対応とされています。破棄に際しては、機密情報を扱うことを念頭に置き、シュレッダーでの粉砕や、専門業者による処理など、慎重な方法を選びましょう。マイナンバーが記載された書類などは、特に厳重な処理が求められます。

退職者の履歴書保管にまつわる業務は、煩雑で時間を要するものです。そんな時、文書保管サービスが有効な手段となり得ます。これらのサービスは、文書のセキュリティ保持はもちろん、保管期間の把握や破棄時期のアラート機能を提供してくれることが多いため、文書管理の負担を大幅に軽減できます。

企業にとって退職者の履歴書は、一つの貴重な記録です。それを適切に管理し、法的義務を果たすことは企業の信頼性を高める行為とも言えるでしょう。退職者の履歴書保管を通じて、企業がいかに人材を大切にするかが問われています。